漣(さざなみ)農業日記

農業によせるさざなみから自分を考える

今押し寄せる波は、さざなみなのだろうか、荒波なのだろうか。

地元に根付いた農産加工

千葉県栄町は、成田市や印西市と接していて、北側に関東の大河「利根川」がある千葉県でも指折りの穀倉地帯です。2013年9月、この地域で大規模な水田営農を展開している鈴木さんの後継ぎの夏実さんにミニコミ誌「漣」の原稿を依頼しました。 鈴木家が位置す…

体験農園の実際を見学 (清水菜々園・・ほがらか塾)

体験農園の売りは「農業生産を体験すること」「生産した農産物を味わえること」ですが、さらなる売りは「農業のプロにサポートしてもらえる」ということでしょう。農業者の側から言うと、自分のサポートによりきれいに農地を保全できるということと、消費者…

体験農園は順調

市川市の清水浩大さんのお宅は、松戸市との境にあり、典型的な住宅街。しかし、そこにはまだ意欲の高い農業者が頑張っています。10年前に清水さんは農業ミニコミ誌「さざなみ」に寄稿してくれ、ご自身が始めた体験農園について紹介してくれました。 彼の始め…

市民と共存する農業

染谷農場とさんち家(H.Pより) 柏市の染谷さんに「漣」への執筆をお願いしたのは、福島の原発事故から2年を過ぎた2013年9月で、染谷さんが15名の農業者とともに、農産物直売所「かしわで」をスタートさせて、もうすぐ10年がたつという頃でした。 順調だった直…

つないでいきたい・・農村の組織活動

2015年5月の「漣」の巻頭言は、君津市の榎本冨美雄さんが書いてくれた。内容は、千葉県ではじめてできた君津市の認定農業者協議会についてである。1995年に榎本さんが中心になって設立された協議会は、この年20年がすぎ、消費者と連携する農業を柱に次々と新…

よそから農村に人がはいる・・安西さんの話のつづき

安西さんの経営は、ここ10年くらいの間に大きく変化したと言えそうである。一つは販売先の多様化による生産品目の増大である。面積も大きくなったのだろう。なにしろ、トウモロコシは現在2ヘクタールも作っているらしい。しかし、この変化よりも大きいのは、…

コロナの影響で販売が大きく変化・・館山の安西淳さん

農業ミニコミ誌「漣」は「農業者からの発信」ということで、今から10年ほど前から3年半くらい発行した。200名弱の読者の方に読んでもらったが、私にとって、内容はとても新鮮だった。 この冊子はいくじないことに、2016年まで続けたけれど、翌年記事を単行本…

その地の農業を伝える

先日、私の高校時代の旧友鈴木一誌君がなくなった。彼は高校卒業後大学に進学したが、そこを中退して、杉浦康平のアシスタントとなり、その後独立して事務所を構え、今日まで多くの本のブックデザインを手がけた人である。写真評論、映画評論の方面でもたく…

組織活動の効用

1か月ほど投稿を休んだ。この間に、妻と二人で沖縄に旅行する。沖縄では、伊是名島でMさんの稲刈りの様子を見学。6月の稲刈りである。Mさんの経営の主力はサトウキビ栽培だが、水稲生産4〜5ha、その他さまざまな野菜もつくっている。今はカボチャの無農薬栽…

安全・安心な農業

現在、有機農業に農政の関心が集まっている。農林水産省の目標は、2050年までに、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)へ拡大するということだ。 「安全・安心な農業」・・・では農家にとってこの課題はどう生まれてきたのか。たぶん農家…

農業で人を雇う

農業の現状を見ると、私が10年以上前に感じていた状況とそれほど違っていない気がします。すなわち、農産物価格の上昇は思ったほど見込めず、資材価格は上昇傾向。このためには規模拡大をして利益を確保しなければならないが、規模拡大をねらっても、金融不…

現ナマの動き

農業を経営として考えていく場合、家族経営であるという点が、一般の企業経営と大きく違う点です。通常企業は経営状況が悪化した場合は、企業の構成員(株主)や銀行などから資金調達をして乗り切り、経営が好転した時期に調達した資金を返済するという形をと…

農産物コストの発信

物価の優等生ともてはやされてきた鶏卵でさえ小売りで300円を超え今までの2倍近く上昇してきている。これは鳥インフルエンザによる殺処分で、鶏の羽数自体が大幅に減少していることと、コストの主要部分を占めている飼料価格の上昇が影響している。 今、農業…

農業経営者とは

先日投稿した記事で強調したかったのは、農業経営を管理していくうえにおいて必要なのは、目標に照らして順序良く考えることと家族あるいは作業者のコンセンサスを得ながら進めていくということの二つだということです。 私が若い頃、神奈川県で農業経営の専…

経営診断を現場に

現役のときは、農家の経営診断をサポートしたい、そう考えてずっと活動してきました。しかし、日常的な診断サポートの機会はほとんどありませんでした。経営改善を目指し農家に必要が生じた場合、つまり、補助事業を導入したり、資金を借りようとしたときに…

まず生産を支えることに重点を!

さて、前に経営を診断するには、規模と効率(生産性)に分解してみていくことが基本であるといいましたが、効率(生産性)はさらに技術と経済という2つの要素に分解してみていくことで、現在の状態になっている原因が、生産技術にあるのか、それをとりまく経済に…

農村での資源の活用

農業経営は、土地(農地)、労働力、資本の3つの資源を上手に使って成り立ちます。経営者は、自分にとって一番調達しやすいものはどの資源なのかを考えなければなりません。農業経営はみんな田舎でやっているわけではありません。都市に隣接した地域では、建物…

よんえっち

4Hクラブって知っていますか?このネット全盛時代になるとなんとなく「過去の遺物」みたいな印象もあるかもしれませんが、農村でのネットワークづくりにこれほど貢献した組織はありませんよ。 ウィキペディアには、「4Hとは、Head(頭)、Heart(心)、Hand…

地域と調和する農業

私が若い頃に、就農したての青年たちの尻をたたいて学習した内容を前回紹介しましたが、その後私は、「地域に自分の経営をおいてみる」ということについて、何人かの方々の挑戦を見てきました。次に紹介します。 まず、以前にも紹介した館山市のSさんの挑戦…

地域に自分の経営をおいてみる

家業として農業を継ぐ人も、新規に参入して農業に挑戦する人も、絶対に忘れてはならないことがあります。それは、本来農業は「個人」というレベルでどこまでも成長していくというものではなくて、その立地する場所と深い関係を持ちながら、発展していくもの…

次の農業の担い手

すべての職業の選択は自由であり、農業もしかりです。しかし、「農家を継ぐ人」と「新規参入する人」とは大きな違いがあります。以前、農業者自身が執筆した文章を「農業は生き方です」という本にまとめました。それを材料に、次の世代の農業について考えて…

君も経営者・・・・経営の中から課題を見つける

プロジェクト学習は確実に農業者として自立する道を用意しますが、この手法の活用初期に比べると、「何を課題として取り上げるか」はずいぶん変化してきています。往時は、親が取り組む農業技術を中心に、青年たちがいかにそこへ近づくかという部分に焦点が…

適切な学習が自立を高める

農業は、家族で取り組む経営形態がほとんどです。したがって経営継承を考えた場合は、これを継ぐ人の「自立力、実践力」を早期に確実に高めることが重要となります。農業だけに限られたことではありませんが、「事業」を確実に継承するためには、継承者の「…

農業を継ぐ人

農業の経営としての形の多くは家族経営です。 「経営体」と国が主張し始めたころ、農業も法人化するべきだという方向が出されました。家族経営であっても、法人化することで、次の世代に確実に経営が伝わると考えたのかもしれません。しかし、一方で農業の法…

さて、本格的に始めます「メモリー 普及活動レポート」

10年ほど前に「普及原論」という本を上梓しました。現役退職後、自分が取り組んできた普及活動についてじっくり整理したいと思ったからです。でも、内容的には不十分で、機会があれば補足・修正したいと思っていました。 あっというまに10年がたち、家にいる…

農業者の共同組織について考える

私は定年退職後、酪農家が組織するたい肥の生産・販売組織に1年間お世話になった。この組織は、酪農家数名により30年以上前に組織化され、法人化された。その法人がこの3月に解散するという話を聞き、今まで組織継続に努力されてきた経営者に話を聞きに…

南いちはらで新たな農業の動き

星野農園で森林浴 一昨日、久しぶりにじかに農業者の方の話を聞くことができました。私は昨年から、市原市の市民大学というところで、地域のことを中心に学習しています。「南いちはら魅力再発見講座」という講座のなかで、「農業を次世代に」という学習があ…

思い出された降雹被害

あれは、昭和53年の7月だったと記憶している。先輩の普及員と二人で現地に出かけた。バラバラバラと突然ものすごい音がした。車に何か当たる音である。しばらくして、その原因は雹だとわかる。通常、変わりやすい天候が多いのは、5月ころで、7月の降雹は珍し…

勾玉と貝輪

今年から、市原市民大学で、市内の歴史を学んでいる。市原市内には縄文時代から人間が住み着き、市内各地に多くの貝塚がある。今年の秋には、歴史博物館も開館する。研修の一環として昨日は、博物館の体験スペースを使って、縄文時代に起源をもつ、勾玉と貝…

開拓者 大熊からきた関本さん

たまたま3月7日の朝日新聞夕刊を見て、本当にびっくりしました。それは福島県大熊町で100年続いた梨農家の若き5代目の関本元樹さんについての記事でした。「なんか似たような内容だな」と感じました。読み進むうちに、「あれ、これはあの関本さんのことだな…