漣(さざなみ)農業日記

農業によせるさざなみから自分を考える

今押し寄せる波は、さざなみなのだろうか、荒波なのだろうか。

組織活動の効用

 1か月ほど投稿を休んだ。この間に、妻と二人で沖縄に旅行する。沖縄では、伊是名島でMさんの稲刈りの様子を見学。6月の稲刈りである。Mさんの経営の主力はサトウキビ栽培だが、水稲生産4〜5ha、その他さまざまな野菜もつくっている。今はカボチャの無農薬栽培にも取り組んで、全国に直接販売しているとのことである。消費者の反応が楽しみであると話していた。

 翌日、観光ガイドを頼み、島内を案内してもらう。ガイドさんはMさんの隣家のHさんだ。奥さんと二人で新聞社の通信員もしており(新報とタイムズ・・・・互いをライバルと言っていた)、観光ガイドのほかに、隣の伊平屋島までの海上タクシーやグラスボート、あげくにドローンまで飛ばし、本職は大工だと話していた。

 このような離島での生活を想像することは難しい。人が少なく資源が限られているというなかでは、「一人がやれることはなんにでも挑戦する」ということが必要となるのだろう。アイデアはでてくる。だけど自分でできる範囲での挑戦に終わらざるをえないともいえる。

 振り返って本土では、「一人でやる」ことに限定されることはない。農業者は、自らの経営強化のために、また地域の活性化のためのあらゆる組織活動が可能である。普及活動は、活動手段として農業者の組織化にもっとも力を入れてきた。しかし、多くの組織活動は必ず活動のマンネリ化に陥る。組織の創成期メンバーの引退による組織活動の目的の喪失がもっとも大きな要因だが、活動を継続的に維持できなくなることも大きい。

 組織活動の端緒は、自らの経営課題の解決に直接的に結びつくものであり、その課題解決は組織メンバーの協力、共同思考を通して進められることでさらに発展する。そのために必要なのは、メンバーの中にある課題を正しく把握し、メンバーの自主的、自立的な活動になるよう仕組むことであり、本来の普及活動はこれに大きく寄与できるだろう。私が経験した袖ケ浦市酪農研究会ではまさに酪農家それぞれの課題を組織活動と結びつけて組織活動を充実してきたといえる。

 研究会では、酪農経営をとりまく多くの課題を自らの実践課題として位置づけその改善を提案し、実行の先陣部隊として活躍してきている.課題解決の方法として、研究会自体が課題の提案と具体的な改善案の作成を行い、それへの参加に関して、市内のすべての酪農家に対して呼びかけを行い、実際的な改善活動へと発展させている.科学的管理の源である牛群検定、牛群の早期改良を目指すET(受精卵移植)への組織的取り組み、ゆとりの酪農転換への酪農ヘルパー事業、地域に根ざした酪農を目指したイベントの実施と牛乳消費拡大への技術的取り組み、さらに畜産環境対策など、どれをとっても今後の酪農経営にとってなくてはならない活動である。(メモリー普及活動レポートより)

 このような活動展開は、現実には長くは続かない。常にスクラップ&ビルドを繰り返すことが大切である。