漣(さざなみ)農業日記

農業によせるさざなみから自分を考える

今押し寄せる波は、さざなみなのだろうか、荒波なのだろうか。

コロナの影響で販売が大きく変化・・館山の安西淳さん

  農業ミニコミ誌「漣」は「農業者からの発信」ということで、今から10年ほど前から3年半くらい発行した。200名弱の読者の方に読んでもらったが、私にとって、内容はとても新鮮だった。
 この冊子はいくじないことに、2016年まで続けたけれど、翌年記事を単行本(「農業は生き方です」)化して、廃刊してしまった。
 最近10年くらいのスパンで今の農業はどう変わるのかということに興味が出てきて、以前協力いただいた農家の方の変化を、記事の内容に即して知りたいという欲求が強くなり、昨日、創刊の「ゼロ号」の巻頭言を書いていただいた館山市の安西淳さんを訪問した。
  「漣」の巻頭言を見ると安西さんは、「今こそ必要な農業者による食育活動」と題して人とかかわることが大切だと説いている。特に重視していたのは収穫体験で、家族を中心とした受入だけでなく、学校、特に近くにある東京都大田区の「さざなみ学校」と連携し、子どもによる収穫だけでなく、収穫した野菜をメニューに取り入れ、生徒たちとの交流の場を広げていた。その試みは、市内の小学校数校にも及んでいた。また、市民との窓口を広げるため「百笑園」という個人直売所も始めたという報告であった。
  では、その後どのような変化があったのか。
  収穫体験については、「百笑園」を窓口にして急にやってきても対応できるような形で定着していたが、2019年の台風のとき、「百笑園」のスタッフが退職し「百笑園」の営業を停止。昨年から「安西農園」が受入を始めている。予約制をとり、前日まで予約を受けるという形に。現在は、バス会社の体験ツァーも受け入れている。
小学校や「さざなみ学校」との連携は現在まで継続して続けられている。小学校は地元の子どもたちが「ふるさとを学ぶ」課外学習の一環として定着。
  安西さんの経営自体はどう変化したのか。従来の夏のソラマメ、トウモロコシ、冬のレタスという産地品目を中心とした経営から、ネット販売へと変化してきているらしい。分岐点は、コロナだった。2020年は最大の需要となり、現在では「食べチョク」「諸国良品」などサイトを通じた販売は5社を数え、出荷金額の半分はネット販売、生産品目も50種類を越える。安西さんは、「漣」巻頭言では、次のように次のように書いていたが・・・・。
  インターネット販売は爆発すれば売上の伸びは一番ですが、どんな方が買ってくれて、どんな評価をしてくれるかが見えにくい。これは縮小していくと今は思っています。
  コロナ感染拡大により、消費者の直接的な反応はきけなくなり、ネットへシフトしたらしい。

いろいろな野菜をつくる・・・・食用ナバナとトレビス

 安西農園の基幹品目に変化はないが、例えば夏の終わりから秋にかけてのラッカセイおおまさり、種苗会社から種の供給を受けているイタリア野菜、ケールは30〜40aつくって、ロイヤルホストへ供給しているという話しだ。
 今までは珍しすぎる品目のため消費者が好んで手を出さなかったものと自分が思い込んでいたものも生産するようになった。消費者のニーズが多様化してきたことをじかに感じているらしい。