先日投稿した記事で強調したかったのは、農業経営を管理していくうえにおいて必要なのは、目標に照らして順序良く考えることと家族あるいは作業者のコンセンサスを得ながら進めていくということの二つだということです。
私が若い頃、神奈川県で農業経営の専門技術員をしていた小川政則さんが、経営者としてどういうことをしていったらよいのかについて「農業経営のチェックリスト」としてまとめられました。この中から、特に上記二つについてはどのように記されているのか、ピックアップしてみます。
1 経営基本
イ 年度別、あるいは長期的な経営目標を持っている。
ロ 経営のあらゆる動きを把握している。
ハ 経営者が持っている経営目標は、家族、雇人などが知っている。
ニ 長期的な経営の発展計画を持っている。
ホ 長期計画に基づいて短期計画(3ヶ月、6ヶ月、1年)を決めている。
ヘ なぜその作目を選択したのかがはっきりしている。
ト なぜ現在の規模なのかがはっきりしている。
チ 人の配置、組織上の権限はについて一定の基準を持っている。
2 生産
イ 生産計画の具体的な内容を持っている。
ロ 生産・作業の指示はいつどこで行うかはっきりしている。
ハ 定期的な打ち合せを持っている。
ニ 予定表や進度表など紙に書かれたものがある。
ホ 農地の高度利用のために意識して実践している(集団化など)。
ヘ どんな作業が省力化しやすいかを重視している。
ト 適期作業、適期管理を常に意識している。
チ 生産性や収益性に関係の深い作業はどんな作業か考え、チェックしている。
リ 設備の拡充は長期計画に基づき、順調に伸びている。
ヌ 現在の生産技術で特に問題と感じる点はいつも気になる。
ル 生産分析の数字的な指標を算出している。
オ 購買費用計画の具体的内容をもっている。
ワ 在庫量のコントロールの目安を持っている。
カ 外注する場合の選択、決定基準を持っている。
3 販売
イ 販売計画の基本的方針と具体的内容を持っている。
ロ 単価を高めるための工夫を具体的に行っている。
4 財務
イ 家族で資金運用の問題について、話合いをしている。
ロ 実績をもとに、予算をたてている。
ハ 部門別に収支状況が把握できる。
5 労務
イ 作業の計画的な遂行について目安になるものとして作っているものがある。
ロ 役割分担、責任分担を意識して管理している。(メモリー 普及活動レポートより)
普及活動において、農業経営を支援する場合に得ておきたい現場情報は、相手が経営者としてどのように考えているのかということと目標を実現するためにどう経営の組織化を図っているのかという二点です。このチェックリストを活用して、経営者別に情報の整理を図ってみてはいかがでしょうか。