漣(さざなみ)農業日記

農業によせるさざなみから自分を考える

今押し寄せる波は、さざなみなのだろうか、荒波なのだろうか。

2023-01-01から1年間の記事一覧

その地の農業を伝える

先日、私の高校時代の旧友鈴木一誌君がなくなった。彼は高校卒業後大学に進学したが、そこを中退して、杉浦康平のアシスタントとなり、その後独立して事務所を構え、今日まで多くの本のブックデザインを手がけた人である。写真評論、映画評論の方面でもたく…

組織活動の効用

1か月ほど投稿を休んだ。この間に、妻と二人で沖縄に旅行する。沖縄では、伊是名島でMさんの稲刈りの様子を見学。6月の稲刈りである。Mさんの経営の主力はサトウキビ栽培だが、水稲生産4〜5ha、その他さまざまな野菜もつくっている。今はカボチャの無農薬栽…

安全・安心な農業

現在、有機農業に農政の関心が集まっている。農林水産省の目標は、2050年までに、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)へ拡大するということだ。 「安全・安心な農業」・・・では農家にとってこの課題はどう生まれてきたのか。たぶん農家…

農業で人を雇う

農業の現状を見ると、私が10年以上前に感じていた状況とそれほど違っていない気がします。すなわち、農産物価格の上昇は思ったほど見込めず、資材価格は上昇傾向。このためには規模拡大をして利益を確保しなければならないが、規模拡大をねらっても、金融不…

現ナマの動き

農業を経営として考えていく場合、家族経営であるという点が、一般の企業経営と大きく違う点です。通常企業は経営状況が悪化した場合は、企業の構成員(株主)や銀行などから資金調達をして乗り切り、経営が好転した時期に調達した資金を返済するという形をと…

農産物コストの発信

物価の優等生ともてはやされてきた鶏卵でさえ小売りで300円を超え今までの2倍近く上昇してきている。これは鳥インフルエンザによる殺処分で、鶏の羽数自体が大幅に減少していることと、コストの主要部分を占めている飼料価格の上昇が影響している。 今、農業…

農業経営者とは

先日投稿した記事で強調したかったのは、農業経営を管理していくうえにおいて必要なのは、目標に照らして順序良く考えることと家族あるいは作業者のコンセンサスを得ながら進めていくということの二つだということです。 私が若い頃、神奈川県で農業経営の専…

経営診断を現場に

現役のときは、農家の経営診断をサポートしたい、そう考えてずっと活動してきました。しかし、日常的な診断サポートの機会はほとんどありませんでした。経営改善を目指し農家に必要が生じた場合、つまり、補助事業を導入したり、資金を借りようとしたときに…

まず生産を支えることに重点を!

さて、前に経営を診断するには、規模と効率(生産性)に分解してみていくことが基本であるといいましたが、効率(生産性)はさらに技術と経済という2つの要素に分解してみていくことで、現在の状態になっている原因が、生産技術にあるのか、それをとりまく経済に…

農村での資源の活用

農業経営は、土地(農地)、労働力、資本の3つの資源を上手に使って成り立ちます。経営者は、自分にとって一番調達しやすいものはどの資源なのかを考えなければなりません。農業経営はみんな田舎でやっているわけではありません。都市に隣接した地域では、建物…

よんえっち

4Hクラブって知っていますか?このネット全盛時代になるとなんとなく「過去の遺物」みたいな印象もあるかもしれませんが、農村でのネットワークづくりにこれほど貢献した組織はありませんよ。 ウィキペディアには、「4Hとは、Head(頭)、Heart(心)、Hand…

地域と調和する農業

私が若い頃に、就農したての青年たちの尻をたたいて学習した内容を前回紹介しましたが、その後私は、「地域に自分の経営をおいてみる」ということについて、何人かの方々の挑戦を見てきました。次に紹介します。 まず、以前にも紹介した館山市のSさんの挑戦…

地域に自分の経営をおいてみる

家業として農業を継ぐ人も、新規に参入して農業に挑戦する人も、絶対に忘れてはならないことがあります。それは、本来農業は「個人」というレベルでどこまでも成長していくというものではなくて、その立地する場所と深い関係を持ちながら、発展していくもの…

次の農業の担い手

すべての職業の選択は自由であり、農業もしかりです。しかし、「農家を継ぐ人」と「新規参入する人」とは大きな違いがあります。以前、農業者自身が執筆した文章を「農業は生き方です」という本にまとめました。それを材料に、次の世代の農業について考えて…

君も経営者・・・・経営の中から課題を見つける

プロジェクト学習は確実に農業者として自立する道を用意しますが、この手法の活用初期に比べると、「何を課題として取り上げるか」はずいぶん変化してきています。往時は、親が取り組む農業技術を中心に、青年たちがいかにそこへ近づくかという部分に焦点が…

適切な学習が自立を高める

農業は、家族で取り組む経営形態がほとんどです。したがって経営継承を考えた場合は、これを継ぐ人の「自立力、実践力」を早期に確実に高めることが重要となります。農業だけに限られたことではありませんが、「事業」を確実に継承するためには、継承者の「…

農業を継ぐ人

農業の経営としての形の多くは家族経営です。 「経営体」と国が主張し始めたころ、農業も法人化するべきだという方向が出されました。家族経営であっても、法人化することで、次の世代に確実に経営が伝わると考えたのかもしれません。しかし、一方で農業の法…

さて、本格的に始めます「メモリー 普及活動レポート」

10年ほど前に「普及原論」という本を上梓しました。現役退職後、自分が取り組んできた普及活動についてじっくり整理したいと思ったからです。でも、内容的には不十分で、機会があれば補足・修正したいと思っていました。 あっというまに10年がたち、家にいる…

農業者の共同組織について考える

私は定年退職後、酪農家が組織するたい肥の生産・販売組織に1年間お世話になった。この組織は、酪農家数名により30年以上前に組織化され、法人化された。その法人がこの3月に解散するという話を聞き、今まで組織継続に努力されてきた経営者に話を聞きに…