漣(さざなみ)農業日記

農業によせるさざなみから自分を考える

今押し寄せる波は、さざなみなのだろうか、荒波なのだろうか。

農業支援サービス

 昨年の夏から秋にかけて農水省が農業支援サービスのアンケートを行った。20000人に対して行い、12938人から回答があったということである。
 そのうち5436人が有償サービスを利用しており、回答者の42%にあたる。これはかなり高い数字であろう。そのうち、出荷量や生育状況といったデータを分析し、適切な施肥管理や出荷時期などを提案する営農指導サービスの利用者は42%でもっとも割合が高いらしい。このようなコンサルタント機能は本来農業改良普及事業が担うべきことである。なぜかといえば、国民に対して安心安全な食料を安定的に供給するのは、国の役割だからである。この数字が意味することは、農家が金を負担してでも有料のサービスを利用したいということであり、普及事業だけのレベルでは、農家の希望するレベルに達していないということを意味するのではないか。

 また、今後農家が希望する農業支援サービスの内容のトップも営農指導であるが(43%)、それに続くのは臨時的な人材派遣(32%)、農薬散布、追肥作業を含む作業代行サービス(31%)である。すなわち、労力補完への要求が高い。ますます農業は家族労働力だけで完結できなくなり、規模拡大、企業化への道を歩まざるを得ない現実を読み取ることが出来る。

 この結果は何を意味しているのだろうか。農民は消費者の要求を満足するものを適切に提供したいという、技術者としての目標をまず重視していると考えられる。これを基本に必要な経営目標を樹立し、はじめて労力問題がクローズアップされてくると思う。現在、農業担い手の減少が急速に進み、環境が激変する中においては、労力、機械などの手段の調達にまず目が行きがちであるが、基本的な方向をまず検討したいものである。

 支援サービスがデータを整理・管理・分析し、そのデータから必要な提案を行うことはもちろん重要なことであるが、その提案について、互いに議論し考え、農民自身がよりよい結果を導き出すことこそ重要な点である。このような働きは有償サービスにはなじまないであろう。無料の支援サービスである農業改良普及事業にこそ求められる点であると考える。