農業ミニコミ誌漣(さざなみ)を3年間、続けてきました。
職場を定年退職し、さまざまな農家の方との出会いから得たものをもっと消費者に伝えたいという思いからスタートした漣(さざなみ)でした。農業者の皆さん、仲間の皆さんの励ましがあればこそ続けてくることができたと感じています。はじめは、最低でも10年間の継続をという目標を自分では持っていました。しかし、現役を退くということは、どういうことなのかがはっきり見えてきたこのごろです。頭ではわかっていたことですが、だんだん現場の空気が後ろに去っていきます。また、この3年間では例えば、農産物直売所でのプロモーション、生協さんへの働きかけ、県内の消費者団体への働きかけ、フェイスブックへの登録などいろいろやってきましたが、会員の増え方は「超」鈍い状況です。
そこで一度けじめをつける決心をしました。投げ出すということではなく、今までいろいろな農業者の方から「農業者からの発信」をお預かりしています。これは漣(さざなみ)に一度きり掲載しただけなのです。もっと多くの方に読んでいただきたい、これを漣(さざなみ)No-10として発行しようと思っています。
3年間の経験の中で、学んだことがあります。それは「自分で語ること」の大切さです。私は漣(さざなみ)を始め、改めて農業者の熱い思いにふれた気がします。書くという作業は時間はかかるし、頭は使うし、しかも漣(さざなみ)の場合、原稿料などは用意できません。まったくの無償の奉仕で、考えようによってはこんなバカバカしいことはないと思う方もいるでしょう。しかし、自分で語ることは、自分の人生を思い起こすことにつながります。そういうひとときを、書いていただいた方に提供したということであれば、許してくれるのではないかと、勝手に思っています。
もっともっと、自分自身で語ること。語ることがこれからの人生の過ごし方に大きなヒントを与えてくれるでしょう。少しずつですが社会だって変えていくことが出来るのではないでしょうか。No-10のあと、漣(さざなみ)はなくなりますが、せっかく芽生えた農業者の語りをどう続け、発展させるか。それがこれからの課題になりそうです。